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2013年05月13日
Posted by 映画の楽校 at ◆2013年05月13日21:48Comment(0)

『陸軍』 木下惠介生誕100年映画祭 in 映画の楽校


1944年 監督: 木下惠介 原作: 火野葦平 陸軍省後援 
出演:田中絹代 / 上原謙 /東野英治郎/杉村春子/ 笠智衆/ 87分

三代にわたり日本陸軍の興隆に関わりつづけた一家の物語。
時代は大正から昭和へ移り、日本は再び戦争の時代を迎えていた。
1944年11月、「陸軍省後援」「内閣情報局国民映画」として製作された戦意昂揚映画・・・のはずであったが、監督を木下惠介にゆだねたことで国威昂揚とはほど遠い作品となった。
“軍国の母”として、気は優しいが気の弱い息子を強い男に育てようと励まし続ける母(田中絹代)。
 やがて、成長した息子に出征の日がくる。ひとり家に残る母の耳にかすかな出兵兵士の行軍喇叭の音が近づいてくる。母は堪らず立ち上がり、大通りへ飛び出していく。ここから映画史に残る長い長いクライマックスシーンがスタートする。日の丸をうち振り、行軍兵士たちを見送る数千人の群衆の中、息子の姿を捜して並走する母の姿をカメラはひたすら追いつづけるー
台本ではわずか2Pにすぎないこのシーンを木下は9分近くにふくらませた。
木下惠介は、三代にわたる戦争と軍人の物語を子を思う母の真情を描く、ただ一点にしぼったのである。
映画は1944年12月公開されたが、木下惠介は情報部に次作を拒否され、辞表を提出して、郷里浜松の母の元へ帰り、終戦を迎えることになる。くしくもこの浜松での実話を元にした新作映画「はじまりのみち」が6月1日より全国公開される。監督は原恵一、木下惠介役には加瀬亮、母親役には田中裕子。
名作「二十四の瞳」を始め、反戦と母子愛が木下惠介の生涯のテーマであったが、映画監督木下惠介の映画人生は、まさにここ(「陸軍」)から始まるのだ――必見です。